Interview
「分かりやすい言葉」で語ることから。「真の顧客メリット」を追求する。
IT系エンジニア
エンジニア略歴
- 1995年新卒入社、業務アプリケーションの設計・開発
- 2007年~通信設備・回線設計システムの設計・開発
- 2009年~広告配信システムの設計・開発
専門用語を使わない。
分かりやすい言葉で語る。
大学を出たのは1995年。Windows 95がリリースされ、世の中が新しいコンピュータ時代到来を予感している時だった。
「父親もエンジエアだったので、子どもの時からパソコンが家にあったことを覚えています。大学で情報処理を勉強したのは、その関係だったかもしれません。とは言うものの、業務に必要な知識は、みんなメイテックに入社してから学び取ってきました」
最初に配属されたのが、請負チーム。業務形態は派遣ではなく、システム開発をメイテックの社内で行う。
「短いサイクルで、数多くの開発条件が動いていました。新人の時は、知識も不足していたので、何でも聞きました。もちろんいろいろ調べたりもしましたが、それも時間がかかって、吸収は悪かった記憶があります。このような新人時代、私が幸運だったのは、開発したシステムを使用する人たちと直に接する機会があったことでした」
現在では、開発したシステムはWEBアプリケーションよリインストールするのが通常だが、当時はまだインターネット環境も十分に整備されていない時代。システム開発者が、フロッピーデイスクやCD‐ROMを持参して、お客さまの元に行き、端末一台一台にインストールしていった。
「全国展開している百貨店を巡回しながら、インストール作業を行ったこともあります。開発中にはもちろん、専門用語が飛び交う中で仕事が進むのですが、そのような『エンジニアの言葉』で話しても、現場で実際にシステムを使う人には理解できません。講習会を行うこともあったのですが、相手はパソコンに触ったこともないような人々。『マウスを左クリック』という言葉ですらも通じない。しかし、彼らが使い方を分からなければ、システムも機能しません。『伝え方』ということを考えるようになりました」
以降、「エンドユーザーと話す時には、専門用語を使わずに、分かりやすい言葉で話す」ということを自分自身のルールとしている。
タフな仕事に苦しみながら、
お客さまの信頼を獲得した。
入社して12年間は、請負チームで数多くのプロジェクトにかかわった。そんな岩下さんにとって、大きな転機となったのは、初めて経験した派遣業務だった。大手SI企業でデータ通信に関わる大規模プロジェクトに参加した。
「同じ職場にメイテックの仲間たちがいたそれまでと違い、新しい職場に飛び込んでいき、システム設計・要件定義に関するリーダー的な役割をすることになりました。職務上の上司も、初めてお客さまになりましたので、どのように接すればいいか、戸惑いもありました」
そんな時、お客さま先の上司がおっしゃってくださったありがたい一言があった。
「ウチの社員と同じ気持ちで働いてください」
これで気持ちは楽になった。変に意識することなく、自分のやり方でぶつかっていく、
仕事の成果を出すということこそが、何よりの関係構築につながっていく。
「私が飛び込んだプロジェクトは、極めて難易度の高いものでした。全国的な情報ネットワークにかかわるもので、巨大な規模もあり、時間的な制約も大きい。その上、お客さまからは次々と新しい要望が付け加えられてきます。リーダー的役割を任されながら、本当にゴールにたどり着けるだろうか、と、途方に暮れたものでした」
プロジェクトの結果からすれば、自分自身、100%のアウトプツトができたとはとても思えない。当然、これっきりになると、思っていた。しかし、お客さまは、結果だけではなく、プロセスを評価してくれていた。そして、お客さまとしても異例な、プロジェクトを統括する本部への異動が行われてまでの、派遣継続が決定された。
変化を糧に、「危機的な状況」を乗り越え、
お客さまのメリットを生み出した。
「そのプロジェクトは、現在も続いているのですが、これもまた私にとっては初体験の領域である『検索連動型広告配信システムの構築』というものなのですが、最初はどのようなシステム開発なのかイメージがつかめませんでした」
規模の大きさ、時間的な制約、お客さまの要望レベルの高さという仕事の困難さに関しては、前プロジェクト以上のものだった。
「事実、途中でプロジェクトは一時危機的な状況になりました。お客様の要望に従って、システムの全体像がどんどん膨大なものになっていき、その一方で納期変更はできないと言われた。板挟みに、どうしても対応する事ができず、結局、土壇場でスケジュールを立て直して対応する事になりました」
危機的な状況の中での立て直し。プロジェクト全体の再構築。厳しい環境の中で、岩下さんが考えたのは「エンドユーザーに対する真のメリットとは何か?」ということだった。
「エンドユーザーの立場からすれば、こんな機能も欲しい、あんな機能も必要だ、ということになるのは当然のことです。しかし、そのために、納期や完成度に支障が出るのでは、結局、マイナスにしかならないでしょう。だとしたら『今、どうしても必要な機能』『当初は見送り、それ以降に追加しても構わない機能』というふうに整理して『工程的に無理なく、完成度も高いプラン』として逆提案することが、真のメリットになるはずです」
岩下さんのエンジエア人生の中で、自慢できることがあるとすれば、それは「依頼された仕事を断ったことがない」ということ。たとえそれが、自分の今までに得てきたスキルやノウハウ以外のことであったとしても。
「同レベルの仕事を続けていても、成長は難しい。自分に果たしてできるだろうか、というぐらいに厳しい仕事にぶつかって、乗り越えていくことほど成長の糧になるはずです」
長年経験した請負業務を離れる時には、大変な不安があったからこそ、困難な仕事に立ち向かい、得られる人間関係の大事さも分かったし、得たものの方がはるかに大きかったという岩下さん。
「17年間、エンジエアを続けてきた、今がちょうど折り返し地点なのかと思っています。その意味でも、新たな機会を大切にして、自分自身の人間力を高めていきたいものですね」
環境が激変する中で、新しいスキルを勝ち取ってきたという自信がある。
だからこそ、これからも変化を大切にしていきたいと強く語った。
※当社社内報「SYORYU」:2011年夏発刊号に掲載した記事です。