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Interview

省人化と無人化を、
生産設備やロボットで実現。
見て触れて答えを導く 現場力

機械系エンジニア

小林 省一

エンジニア略歴

  • 2016年キャリア入社
  • 2016年〜自動車部品の生産設備導入・立ち上げ
  • 2019年〜産業用ロボットシステムの機械設計
  • 2020年〜自動車樹脂部品生産設備導入・立ち上げ

鉄道が好きで選んだ機械工学、
もののはずみで製造設備の領域へ。

産業用ロボットというと極めてセンシティブな世界と思われがちだが「付き合ってみると案外、雑で人間っぽいんですよ」と笑う。技術と向き合っていく中で、時に思いがけない世界も見せる。今回は、そんな小林さんの現場主義を貫くキャリアについて紹介したい。

機械工学を専攻したのは、鉄道や列車が好きだったから。地元を離れ、その分野の権威の教授に学んだ。研究テーマは「鉄道の脱線に関するメカニズム」。模型を製作して、脱線事故の原因を、車輪にかかる力や、車輪とレールの摩擦係数から分析した。

「学生時代、勉強は全然しませんでしたね。冬になると、スキー場のアルバイトに精を出し、遊ぶのもスキー。冬の間中、雪山にこもっていた感じでした」

鉄道関係への就職を希望したが、採用環境が悪い時期でもあり苦労した。

「最終的に入社したのは、自動車部品の製造設備をつくる小さな会社。実家に近かったのが会社選びの理由になりました」

工場に行けば答えもあると
実感した新人時代。

最初に入社した会社では、タイヤメーカーに製造機械設備を提供していた。

例えば、5ミリ幅0.6ミリ厚のゴムシートを生タイヤに巻き付ける設備だ。

「タイヤの製造を自動化する上でやっかいなのは、ゴム製ということです。温度により性質が変化し、形状も一定ではありません。ゴムの性質を知りつくした上での設備設計が必要になります」

大きく力を注いだのは、タイヤの製造ライン全体を自動化するプロジェクトだった。従来、人の手を借りていた作業を機械で行うための実験プラントを社内に設置し、タイヤメーカーの担当者と細部にわたる設備要件を詰めていく仕事。

「タイヤに使うゴム成分は各社で異なり、高度な企業秘密なので、私たちにも知らされません。そこで、それぞれのプロセスでの微妙な調整はお客さま先から20~30人が交代でやってきて、議論しながら行います。人数が多いと異なる意見も出てきて、集約する立場の私としても、相反する条件をいかに矛盾なく折り込んでいくかに苦労のしどころがありました」

ここでたたき込まれたのが現場主義。

「設計室にいると社長がやってきて怒るんです。なんでここにいるんだ?製造は工場で行うんだろ、工場に机を持って行け、と。結局、工場に机を持って行き、図面を描いていた(笑)」

小林さんも始めは驚いたそうだが、現場に行くとその分、声を掛けられた。そして、問題解決のための多くのヒントが見つかったとも振り返る。

頭だけでは考えず、手と指で
ものの動きを試したロボット開発。

入社12年目、会社が買収され職場が遠隔地になり、最初の転職を経験する。自動車メーカー向けの産業ロボットを使用した、製造設備開発企業へ。トランスミッションなどの製造を省人化する仕事に携わった。

「例えば、O(オー)リングというふにゃふにゃしたゴムでできた輪っかを金属部品にはめる作業。人間なら、なんてことのない工程でもロボットの場合、ゴムがふにゃふにゃしているため、教え込んだこととは違う動きをしてしまい、困難になるケースも起きました」

そんなとき小林さんは、あえて頭で考えるよりも机の上でロボットアームの動きを確認するような手順を取ることがあった。ボールペンで輪ゴムを取り上げ、運んではめる手順を試してみる。「こうすればいいんだ!」。人間の動きをロボットで再現させようと考えると、思いがけず合理的な方法が見つかることが何度もあった。そこで気付いたのが、冒頭に紹介した「ロボットはわりと雑」という発見。メカニズムだけで処理する場合は、デリケートな設計が要求されるが、ロボットはプログラムの助けを借りられるので、機構設計的には自由度が高いことも分かってきた。

「皮肉なもので、今度の職場では工場の現場に行くと仕事をしていないと叱られました(笑)」

仕事は面白かったが、突然の出向など、いかんせん多忙が過ぎる現場だった。小林さんが2度目の転職を考えるようになったとき、職場で出会ったのがメイテックのエンジニアだった。

「派遣エンジニアの立場ながら、派遣先の人から頼りにされ、何かあるたびに相談を受けていました。こういう働き方もいいなと思い、それがきっかけで2度目の転職先はメイテックになりました」

以来一貫して「自動車」と「生産設備」に関わり続けてきた。

現場主義で築いたものを
これから仲間に伝えていきたい。

メイテックでの最初の配属先は自動車の重要保安部品を製造する会社。生産工程にロボットを導入する仕事だった。

「自分で機械を設計するのではなく、計画全体をコントロールする仕事。発注業務が多く、痛感したのは他人に依頼する困難さ。要件の整理などを徹底し、どうしても解決しないときには、設計現場に直接行って話し合うこともありました」

こんなところにも現場主義が表れる。制御プログラムの修正にまで関わった。

「ムダな動作をなくしてほしいと言われ、プログラムを再検討することになりました。触ったこともない分野ですが、言語的にも高度でないのが幸いしました。現場に行きコード表を打ち出すと、大体何をしたいか分かったので、業務後も時間をつくり、参考書片手に乗り切りました。食わず嫌いせずにやれば、なんとかなるものです」

その後、前職と近い内容のロボット設計の仕事を経て、昨年から自動車メーカーに配属され、近い将来に主流となる新技術を製造ラインに乗せるための巨大プロジェクトに関わった。

「会社も仕事も今まで経験してこなかったスケールのもの。徹底的に分業化されたプロセスも未経験でした」

自らの業務の周辺で具現化した課題に関して、担当者と一緒に対策を実施していると「その仕事は担当者に任せてください」と言われてしまった。制約の多い仕事に違和感を覚えながらも、仕事で出会った人々には好影響を与え続けていきたいと考える。

「周りの人が困っていたら、頼まれなくてもアドバイスしています。また、エンジニアのマインドについても機会がある限り伝えていきたいですね」

「自動車」と「生産設備」に関わり続けてきた小林さん。新しい領域で働く意欲も旺盛だ。

「生産設備という大きな枠は外さず、さまざまな成果物に関わっていきたいです。同じ『製造』でも、形や大きさ、材質が異なることで全く違った世界が広がります。例えば文房具なんて、面白そうですね。メイテックなら、さまざまな製品に携わることができるので、自分に向いているようです」

頭も体も口も動かす現場主義のエンジニア、小林さんは面白くない仕事はしたくないと言う。だからこそ、仕事を面白くする努力を日々続けている。

※当社社内報「SYORYU」:2021年夏発刊号に掲載した記事です

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