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2008年3月 (社員向け)月例社長メッセージ

先に後悔しておく話

昨年明け以降、景況のスローダウンの可能性が、日々高まりつつありますが、本稿を書いている2月8日現在では、当 社のエンジニアの皆さんの高稼働は継続しており、受注件数も、新卒・一般ともに堅調に推移しています。こうした状況の背景には、先月号でも記載したよう に、当社のお客さまである日本の大手製造業の皆さまが、景況の動向に関わりなく、継続的に技術開発投資を行っていくことが、自社の中長期的な成長や発展の ために必須だと考え、技術開発コストに対するブレーキを踏むことを懸命にがまんされている事実があるのだということを、最近の顧客ラウンドからも強く感じ ています。だから大丈夫だと、慢心すると痛い目にあうのは世の常であり、お客さまがどんな状況になってもがまんを続けられると思うことがリスクです。今は がまんされているお客さまであっても、実際に景況が悪化し、自社の業績に影響が出てくれば、がまんできなくなるお客さまも出てくると思わなければなりませ ん。そうすれば、当然、当社の受注や契約更改にも影響が出てきます。

景況が悪化していくということは、好ましくないことですし、なんとなく不安になったり、気持ちも暗くなったりするものですが、少し、見方を変えればどうで しょうか。たとえば、景況というものは、必ず上がるときもあれば、下がるときもあるという事実を認識すること、したがって、下がりっぱなしのこともないわ けで、必ず底を打って上がる局面があるということ(*ちなみに、サブプライム問題に起因した株価下落が止まらないのも、サブプライム問題の底、つまり金融 機関の損失はどこまでかが見えていないことが大きな理由だとも言われています)を認識するということです。そういう視点でとらえると、当社において、エン ジニアの皆さんの年間平均稼働率が97%以上という高稼働状態が4年以上も続いていること(今期を入れると5年になります)が異常な状態だという見方もで きます。確かに、このような高稼働状態が長期間持続しているのは、34年間の当社の歴史の中でも初めてのことです。

しかしながら、4年間も異常な状態が続くと、それを当たり前のように感じてしまうのも人間です。営業面では、受注はいただいて当たり前、エンジニアの皆さ んの高稼働が続いて当たり前、というような感覚です。あるいは、エンジニアの皆さんにおいては、契約は更改されて当たり前、ローテーションも長期滞留する ことなくスムーズにできて当たり前、というような感覚かもしれません。もちろん、こうした状況においても、自らの市場価値向上に真摯に取り組んでいただい ているエンジニアの皆さんもたくさんいますし、契約更改に緊張感をもって対応していただいているエンジニアの皆さんがほとんどであることも承知していま す。高稼働が持続していても、必死で新規開拓をしたり、グループ連携営業に取り組んでいるECコーディネーターもたくさんいます。ただし、高稼働状態が続 くと、組織全体で見たときには、どうしても弛緩してしまう部分が出てきてしまうのも、人間の組織です。

当社の過去の受注動向を長期的なスパンで見ると、受注が上がっていくカーブはスローな右肩上がりを示しますが、下がっていくときには急激にダウンします。 したがって、ダウンサイドの局面ほど、その状況変化のスピードに戸惑うことが多くなります。何となく契約更改を期待していたお客さまの対応が急に変わった り、見込み受注でいただいていた新卒受注が急にキャンセルされることが出てきたりするわけです。そうすると、新規受注が堅調でベストマッチングシステムに 1,000件以上の受注が登録されている状況では、マッチング件数が数十件あったようなエンジニアでも、登録受注件数の絶対数が減ることによって、急に マッチング件数が減るというような現象も起きてきます。しかし、日本の製造業が技術開発投資をされるかぎり、受注がゼロになることもないわけで、受注環境 が厳しい状況であっても、たとえば継続的にベストマッチングシステムを活用し、市場動向を見ながら、自分の技術やスキルを高める努力をしているエンジニア であれば、不安になることもないわけです。逆に、自分は今のお客さまで当分大丈夫だ、だからベストマッチングシステムなんて使わなくてもいいや、と思い込 んで何も戦略ツールを活用していないと、いざというときに、なかなかローテーションができないというような状況も起こりえます。

つまり、実際に自分自身が厳しい環境におかれないと行動に移せないのも、人間の弱さや甘さだったりするわけで、「あのときにこうしておけばよかった」と後 悔したりするものです。でも、今はまだ受注も堅調なわけですから、先に後悔してみてはどうでしょうか。1年後の自分を想像して、そのときの自分は今の自分 を振り返ってみて後悔することはないだろうかと想像するわけです。その結果、後悔していそうだと感じるエンジニアは、まずベストマッチングシステムにアク セスして、自分の市場価値と向き合ってみてはどうでしょうか。

以上

メイテックグループCEO
代表取締役社長 西本甲介