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2008年4月 (社員向け)月例社長メッセージ

10 年後の自分と、今の自分

今年も、社会人としての第一歩をメイテックグループで歩みだす若い仲間たちを迎えるシーズンになりました。メイ テックグループの新入社員は、今年は、メイテックで282名、メイテックフィルダーズで124名、そして昨年1年間にメイテックグローバルソリューション ズに中国から迎えたブリッジエンジニアが135名、合計で約541名です。

昨年度のグループ全体のキャリア入社や、その他のグループ各社の増員と合わせると、1年間で約1,000名の新しい仲間たちを迎えることができました。こ れは、メイテックグループ史上最大の年間増員数であり、グループ全社員の協力により、ようやく「オーガニックな成長モデル(自らの力で自然に成長していく モデル)」の基盤ができてきました。こうした新しい仲間たちが、メイテックグループの中で、プロフェッショナルとしての礎を一日も早く築いてほしいと願っ ています。

ところで、今年の新入社員たちが、入社後10年経ったときには、どんな時代になっているでしょうか。その時の日本は、果たして世界の経済先進国の一角を維 持できているでしょうか。われわれの顧客である大手製造業はどのような状況になっているでしょうか。グローバリゼーションはどこまで拡大しているでしょう か。ネット社会はどのように変容しているでしょうか。少子高齢化は社会にどのような影響を与えているでしょうか。どれも極めて不確定です。間違いなく言え ることは、現在では想像もできないような時代や社会になっていることだと思います。デジタルに情報が発信され共有されるスピードが上がっているだけでな く、人や物といった実物の動きも、ますますグローバルに拡大し、加速しています。その結果、米国発のサブプライム問題が顕著な事例ですが、一国で起きたこ とが波及的に世界に影響を与え、その影響を受けた国で起きたことが、また世界に影響を与えるようになっています。つまり、世界全体を変えていく要素が拡大 するだけでなく複雑化し、そのスピードがますます加速されていく方向に世界全体が動いているということです。その結果、未来を予測することがますます困難 になり、「想像もできないような事」が刻々と起きるようになっているのだと思います。まさに、未来は確定されたものではなく、不確定なものだという事実で す。しかも、その不確定の度合いが、ますます高まっていくという事実です。

これは、企業も人も、自分の周囲の環境変化を予測することが、ますます困難になっていくことを意味しています。したがって、10年後の自分を想像すること がますます難しくなっていくのだと思います。例えば、自分は10年後にはこういう仕事がしたいと思っていても、その仕事がなくなっている可能性さえあると いうことです。液晶テレビの開発を行いたいと思っていても、液晶テレビ自体がなくなるかもしれないということです。では、どうすればいいのか。私は、少な くとも、次の二つのことは言えるのではないかと思います。第一に、自分の職業を見出し、その職業としてプロフェッショナルになることです。第二に、10年 後の自分が、今の自分に対して後悔しないように決断し行動することです。

第一の点は、重要なのは「プロフェッショナルになること」という部分です。仕事や職業は違っても「プロフェッショナルであること」は普遍的です。つまり、 どのような時代、どのような職業でも成功の必須の要件と考えるからです。特に、プロフェッショナルなエンジニアであれば、異分野でも十分に活躍できるとい うことを、多くのメイテックのエンジニアが証明しています。第二は、自分の生き方を、時間という物差しで時々測ってみるということです。人間には弱い部分 がたくさんあるので、つい「今の自分」で物事を考えたり、判断してしまいがちです。例えば、日本の上場企業の労働者の、年間平均休日数は120日を超えて います。つまり、3日に1日は休みということです。そして、すべての休みを、今の自分の快楽に使うという選択もあれば、将来の自分のために投資する(研修 を受ける、自己啓発を行う、仲間を増やすなど)という選択もあります。誰もが無意識のうちにこうした選択を日々行っているわけですが、その選択をする際 に、「自分の今の選択を、果たして、10年後の自分は後悔しないだろうか?」と考えてみることが、「自分の生き方を、時間という物差しで時々測ってみる」 ということになります。

10年後の時代を予測することは、極めて困難です。しかし、10年後の自分は、今の自分に対して後悔していないかどうかを想像することは、そんなに難しく ないのではないでしょうか。また、エンジニアという職業は、どんな時代になろうと、もっとも必要とされる職業の一つだと思います。社会に出た新人たちに は、こうした視点に、早く気づいてもらいたいと、毎年考えています。

以上

メイテックグループCEO
代表取締役社長 西本甲介