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2011年8月 (社員向け)月例社長メッセージ

リスクとクライシス

「危機は脱しても、有事は続く」というのは、新・中期経営計画「共創21」の前提となる考え方です。私たちは、何とかリーマンショック後の危機を乗り越えることができましたが、今後は、いつ何時、同様の危機が来るかもしれない。そのときに備えて、今回の危機を通して学んだことを、私たちの力にしていこうという意味です。

その意味では、「共創21」自体、危機管理の一環と言うこともできます。最近は、震災や原発問題に直面したことを契機に、国・企業・個人レベルで、こうした危機管理の考え方が重視されるようになってきていますが、危機管理にも、二通りあると言われています。一つは、リスク・マネジメント(起こるかもしれない危機に対して、いかに予防するか、再発を防ぐか、準備しておくか)であり、もう一つがクライシス・マネジメント(起きてしまった危機に、いかに対処するか)です。

当社においては、2008年9月のリーマンショックから2011年2月の危機脱出宣言までの約2年半の間に行ってきたことが、クライシス・マネジメントです。具体的には、「雇用を守る」という方針に即して実施してきた、営業への集中、配属促進策、コスト削減策などが該当します。そして、そのクライシス・マネジメントで実施してきたことを活かして、次なる危機(来てほしくはないですが)に備えて取り組むこと、同時に、危機を通して見えてきた成長のための課題に取り組むことが、「共創21」の主題です。

クライシス・マネジメントは危機の渦中で取り組むことなので、たいへん厳しいことではありますが、「危機脱出」という目的への集中が容易です。一方で、リスク・マネジメントは、平時に、少なくとも危機を脱した状態で取り組むことなので、課題として分かっていても、どうしても後回しにしてしまうことが出てきます。

それを後回しにしないで、優先順位を決めて実行していくことが経営の責任だと考えています。

以上

メイテックグループCEO
代表取締役社長 西本甲介