世界がこれから向かう未来には、さまざまな課題を突き付けてくる非常に大きな潮流があると言われています。例えば、「人口構造の変化」。日本でも大きな課題となっていますが、多くの先進国では、今後人口急減・高齢化社会の到来により、労働者人口の割合が圧迫され、経済規模の縮小が起こることで、国民の豊かさが低下する事態を招きます。一方で、新興国の中には、爆発的に人口増加する国があると予想されており、今までにない巨大な労働力や消費市場が生まれることになります。
「テクノロジーの進化」もその潮流の一つです。今、「モノ」と「データ」の融合(IoT)により、次々と革新的な製品やサービスが生まれています。今後、モビリティやインフラなどあらゆる「モノ」がつながる「超スマート社会」において、世界の多くの企業が唯一無二のプラットフォーマーを目指して、しのぎを削ることになります。そして、テクノロジーに進化を起こし続け、新たな付加価値を創造することでしょう。
このように、世界の大きな潮流の中では、企業は留まることを許されず、常に前進しなければ、衰退の波に飲み込まれてしまいます。しかしながら、構造変化のタイミングをとらえて、行動に移すことができれば、むしろ大きなチャンスをつかむ機会にもなる。わたしは、この一年間、「『アンテナと感性』をもって自己革新を続けてほしい」と皆さんに伝えてきましたが、企業だけでなく、個人にも同様のことが言えると思っています。そのためには、日本だけではなく、世界に目を向けてその潮流を見極めてほしい。既に、わたしたちの仕事や生活は、世界で起きる事象や変化の影響から、切り離して考えることはできなくなっているのではないでしょうか。
また、日本企業のものづくりの根底にある「いいものは必ず売れる」という従来の価値観だけでは、世界のマーケットで勝ち続けることは難しい、ということも潮流の一つかもしれません。「いいものが売れる」から「『ユーザーが本当に求めているもの』がいいもの」という発想の転換、要はプロダクトアウト型ではなくマーケットイン型で考えなければいけなくなっているととらえています。
現中期経営計画も、あと1ヵ月で最終年度に入ります。当社のお客さまである日本の製造業、そしてその先にいるエンドユーザーに、「本当に望まれている、価値あるもの」を提供できるように、皆さん一人ひとりが独自の「アンテナと感性」をもって行動し、次の成長に挑んでください。
メイテックグループCEO
代表取締役社長 國分 秀世