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2021年5月 (社員向け)社長メッセージ

イノベーションによる創造活動

「創造的破壊」や「ゲームチェンジ」という言葉が、マスメディアでよく取り上げられています。「創造的破壊」とは、古く保たれた秩序を壊して、新しい成長産業を創造することです。「ゲームチェンジ」は、従来からの見方や考え方を変換させて、業界のビジネスモデルやルールを一変する商品・サービスを生み出すことです。いずれも、「イノベーションによる創造活動」を表す言葉と言えます。
 

私が新入社員に話していることがあります。それは2008年頃に登場したスマートフォンについて。当時のスマートフォンはデバイスとしての機能はまだ充実しておらず、日本ではフィーチャーフォンが人気でした。フィーチャーフォンは、日本のメーカーが機能や性能にこだわって独自開発し、テレビも見られるし財布にもなるなど、当時のスマートフォンにはない性能が備わっていました。ただ、それも束の間のことで、スマートフォンは名前の通り「スマート=賢い」電話であり、ソフトウェアのアップデートで格段に機能やサービスが進化し、今では皆さんにとって、あらゆるシーンでなくてはならない存在になっている。要するに、スマートフォンは小型化したパソコンに通話機能を搭載した情報端末であり、明らかに従来の携帯電話の概念を変えた、象徴的な「イノベーションによる創造活動」なのです。
 

さて、自動車業界でもモビリティサービス(MaaS)という、自動車における移動サービスが定着してきました。マイカーを持たない世代が増え、自動車を「所有」から「利用」「共有」するという価値観に変化しつつあります。近い将来完全な自動運転車が誕生すれば、目的地まで「ボタン一つ」で簡単に移動できるようになるでしょう。また、移動時間を利用して、公共交通機関のように車窓を眺めたり、映画を見たり、食事をしたり、ということも可能になります。一方で自動車メーカーは、自動車を「所有」するユーザーに対して、販売して終わりではなく、自動車を通じた付加サービスをどう展開し、所有することによる価値をいかに感じてもらうのかが重要になっています。長く「所有」することで価値が劣化するのではなく、むしろ向上させるイノベーションが求められています。
 

「創造的破壊」や「ゲームチェンジ」は、何もないところから発生するものではなく、今ある課題を解決するための手段であり、その目的は「持続可能な未来」を実現することにあるはずです。われわれも、まずは目の前にある課題を解決するためのイノベーションを繰り返し創造していきましょう。それがお客さまの「感動」につながり、「持続可能な未来」の実現につながっていくはずです。

以上

代表取締役社長
國分 秀世