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2023年8月 (社員向け)社長メッセージ

「水平分業」の進展

経済産業省、厚生労働省、文部科学省が、ものづくり企業や技術の変化、動向を毎年取りまとめている「ものづくり白書」の最新版を、2023年6月に公開しました。その中で、国内外の製造業の変化として、「デジタル化・標準化に伴い、製品設計のみならず、生産ラインの設計や現場のオペレーションの形式知化も進んでいる。そのため、これらの機能を企業や業種を越えて外部提供するビジネスも登場するなど、『水平分業』の進展がみられる」という内容がありました。
 

製造業は、以前から「垂直統合」から「水平分業」へ移行する動きが盛んです。それは、全てを自社開発・生産する「垂直統合」モデルでは、技術革新スピード、製品ライフサイクルの短期化、価格競争激化の観点などから、苛烈なグローバル競争に勝てなくなってきたからです。企業によって、バリューチェーンの付加価値の高い分野は異なりますので、外部の企業と分業することで、更に自社が得意とする分野に特化して勝負できます。主な例としては、製品の設計やマーケティング、販売などの機能に特化するファブレス企業や、生産を専門に手がけるファウンドリー企業が挙げられます。
 

最新の「ものづくり白書」で触れている「水平分業」の進展とは、その形態が多様化していることを表しています。例えば、製造事業者に対して、設備の稼働状態や品質検査など生産に関わるデータをAI分析し、設備不具合や品質不良の予兆検知と自動制御が行えるプラットフォームを一律に提供する企業なども生まれています。
 

ただ、ものづくりのプロセスにおいて、標準化や定型化による生産性向上を追求するあまり、自社の競争優位性まで失われてしまうことがあります。そのため、中には、時代に逆行してでも、開発から製造までを自社で完結させ、ブラックボックス化したいと考える製品やサービスもあります。各社が何を大事にし、どのような戦略をもってものづくりに取り組んでいるのか、最新の変化や動向をいち早く感受することは、当社にとってとても重要なことです。
 

そして、エンジニアの皆さんには、どのような環境下にあっても、自身の役割と専門性を理解して、常に新しい技術や、その技術を活用したアプローチを追求してほしいと思います。また、質問力と課題把握力を高めることで、次世代技術やツールに「使われる」のではなく、「使いこなす」・「判断できる」エンジニアとして、付加価値を高めてください。
 

以上

代表取締役社長
國分 秀世